去る1月29日の金曜日に、建築家岩本秀三先生の退官記念特別最終講義が行われました。
岩本先生は1984年から36年もの間、近畿大学工学部の非常勤講師を勤められており、今年度をもって退官されました。近畿大学工学部出身では全国へ名を轟かせる初めての建築家として、また、複数の大学で教鞭を執られるなど、広島の建築界を切り開いてこられました。
本来なら常勤の先生しか行われない最終講義ですが、岩本先生の功績を讃えられ特別に執り行われました。コロナ禍ということもあり、Zoomによるオンラインというかたちになってしまったのですが、大変多くの方が参加され、先生の人柄が表れた最終講義となりました。また、当日は岩本先生の先生でもある澤登先生も出席され、近大工学部建築学科意匠・計画系の創成期のお話を伺うことができ、非常に有意義な時間となりました。
僕自身、学生時代には岩本先生に教えていただき、近年は同じ授業を担当させていただいたことから、非常に感慨深いものがありました。学生の時に先生が設計された武田学園を見に行き、独立した翌年にご自身の事務所ビルであるI・FLATが完成し、偶然にも施工を担当した現場監督が僕の学生時代の同級生だった縁から竣工翌日に見学させていただくなど、自分の転換期に先生の建築に触れる機会があり、勝手ながら触発されたことを思い出します。
大抵の人は大人になってから「怒られる」ということがほとんどないと思うのですが、数年前までは岩本先生から年1回のペースで怒られる、と言ったら語弊がありますが…、ご指導いただくようなことがあったのですが、ここ2年くらいはそのようなこともなくなり、今となっては非常に有難く、そして少し寂しいような気がしないでもないような・・・。
一昨日の卒計発表では「岩本節」が所々で炸裂し、一安心しました。食らった学生はその場ではダメージを受けたかもしれないけど、それは本当は愛のムチであって、自分の糧になっていることに気付いてほしいな。僕がそうであったように。
※マスクを外した写真撮影は、会話をしない条件で瞬間的に行いました。